千葉県は県内の8大学と生物多様性や自然保護に関する連携協定を締結しています.
そこで毎年,「千葉県と連携大学との研究成果発表会」と称し,連携大学がそれぞれテーマに沿った研究を発表しています.
2021年はオンライン開催.
テーマは
「野生生物保全と自然再生における官学民の協同:自然保護はこれから何をめざせばいいのか」
で,先着100名,事前申し込み(無料)です.
https://www.pref.chiba.lg.jp/shizen/event/2021/documents/chirashi.pdf
自分はアライグマ餌トラップの有効性評価の研究を引っさげて馳せ参じます!!
データ数が少なく不十分な点は多いですが,内容としては結構面白いです(自分で言うのもアレですが笑)
今回の研究会の発表者でアライグマはひとりですが,爪痕残してやるぜ!!
(アライグマだけに)
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1. アライグマ餌トラップ法とは?
2. 方法
3. 結果・考察
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1. アライグマ餌トラップ法とは?
アライグマ餌トラップ法とは,環境省近畿地方環境事務所が開発したアライグマ訪問確認方法.筒の中の判別餌が消失していたら,アライグマが来ていると判断できる.
安価で簡単にアライグマが来たか否かを確認できるというとても魅力的な手法!!
cf. 【実録】アライグマ来てる!?餌トラップ法
satoyaman-raccoon.hatenablog.com
cf. 環境省近畿地方環境事務所(2008)近畿地方アライグマ防除の手引き
https://www.env.go.jp/nature/intro/3control/files/racoon_kinki.pdf
しかし,問題点が2点ある…
・サルがいる地域では使えない点
・有効性が明らかになっていない点(研究されていない)
アライグマ同様に手が器用なサルについてはこの調査方法の限界ではあるが…
有効性に関しては,自動撮影カメラと併用すれば明らかになるのでは??
ということで,今回はアライグマ餌トラップ法の有効性を検証しました.
データが足りないので,今回は中間報告程度になっちゃいますが…
正直アライグマ餌トラップ法は使えるぞ!!
動物の訪問確認方法有効性を考えるうえで,2つの危険性を考慮する必要がある.
偽陽性率:アライグマ訪問以外の原因で判別餌が消失する確率
偽陰性率:アライグマが訪問したのに判別餌が消失していない確率
つまり,
判別餌がなくなったら,アライグマが来たって言いきれる??
判別餌が残っていたら,アライグマが来てないって言いきれる??
これがわかればどれくらい信頼できるかを示せそうだ.
2. 方法
調査地は加治丘陵と狭山丘陵
アライグマ餌トラップと自動撮影カメラを2週間設置,1週間おきに確認
中大型哺乳類が餌トラップの周囲3 m以内に滞在した訪問を4つ分類
「採餌成功」「採餌失敗」「忌避」「通過」
3. 結果・考察
中大型哺乳類9種76訪問を確認.
アライグマ 47訪問
タヌキ 14訪問
イノシシ 6訪問
これは採餌成功するアライグマ!!
一方で,採餌失敗するアライグマも…(かわいい)
他の動物はどうなる…?
たとえばイノシシは,こういう”異物”があるとめちゃめちゃビビるみたい
全76訪問より...
・偽陽性率:アライグマ訪問以外の原因で判別餌が消失する確率→危険性は低い
アライグマ以外の動物が判別餌を取ることはなかった
・偽陰性率:アライグマが訪問したのに判別餌が消失していない確率→危険性は高い
アライグマ採餌成功率約20%,多くの訪問で失敗or通過
まとめると…
判別餌がなくなったら,アライグマが来た可能性大
判別餌が残っていても,アライグマが来てないとは言えない
大量に仕掛けることでアライグマ早期発見には有用かもしれないね.
一方で,未侵入の保証はできなそう.
密度指標としての能力は検証が必要.もっとデータ集めてモデル作れたら理想だな~
今回の調査では,アライグマとタヌキのデータはまぁまぁ集まった一方で,
ネコやハクビシンなど手が器用そうな中型哺乳類のデータが足りない...
データを蓄積して,信憑性を増す必要があるね
また,市民参加型調査にできるように調査フォーマットをつくりたいね
爪痕調査の代替or併用で,簡易な生息確認手法になるかもしれない.
サルが生息する場合は,ペットボトル式ではなく塩ビ管式なら有用かな?サルは視覚的な餌とるけど,見えなかったらあまりとらないって聞いたことある気がする.
それは要検証.
それでは千葉県と連携大学との研究成果発表会でお会いしましょう!!
Let me see your gun-finger!!
以上
2021.11.22. 執筆