『アライグマ被害 過去5年で最悪』(NHK首都圏)
埼玉でのアライグマ被害が増えているとのニュース.
NHK NEWS WEB (2021/1/5)
このニュースについて,レビューと補足情報です.
捕獲数7223頭 ...過去最多,-2015年の倍の水準
被害額2136万円 ...過去5年間で最多
(数値はいずれもニュース本文より)
cf. 埼玉県(2017)埼玉県におけるアライグマ対策の総合的な体制づくり
埼玉県におけるアライグマ対策総合的な体制づくり(埼玉県の事例):農林水産省
埼玉県による資料(埼玉県 2017)によると,生息地域・捕獲地域は図2のとおり.もう全域に広まっているという感じ.
もっともっと捕獲しないと減らないということである.
(アライグマは生息頭数の50%を捕獲しないと減らない,被害軽減するには70%とか獲らないと...)
では,アライグマはどういう捕獲があるのか?
おおきく分けて3つ
①外来生物防除の捕獲:生態系保全等が目的
②有害鳥獣捕獲:農業被害軽減が目的
③狩猟:目的は自由
アライグマは狩猟の人気は低いので,主に①と②で捕獲していると思われる.
①に関して,埼玉県は埼玉県アライグマ防除実施計画を策定している(埼玉県 2011).これの計画期間(第3期)は2011.3-2021.3なので,来年度からは第4期のもっと本腰を入れた計画が策定されることが予想される.
他の都道府県のアライグマ防除計画がどうなっているかは下記をcheck it out
cf. 埼玉県(2011)埼玉県アライグマ防除実施計画
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0508/gairai/documents/634726.pdf
cf. アライグマ防除計画の比較
satoyaman-raccoon.hatenablog.com
cf. アライグマ捕獲の種類
satoyaman-raccoon.hatenablog.com
ニュースの本文では以下の2点に言及.
・新型罠の開発
・捕獲従事者の確保
新型罠の開発について,
「アライグマの手を伸ばして獲物を取る習性を利用し筒状のアライグマ専用の捕獲装置を開発」
とある.おそらく,選択的トリガー式箱罠のことであろう(下記参照).この罠の性能を評価した論文・報告書等は少ないので,有効性についてはここでは言及しない.選択的罠は他にもたくさんあるよ(下記参照).
cf. 選択的トリガー式箱罠(記事後半)
satoyaman-raccoon.hatenablog.com
捕獲従事者の確保について,
「狩猟免許がなくても捕獲できるよう農家や自治体職員を対象に、講習会を開くなど対策に力を入れていく」
とある.これは下記URLのような研修会を行うことで捕獲のハードルを下げることが期待される.先述の捕獲の枠組みで言うと,「①外来生物防除の捕獲:生態系保全等が目的」である.ただ,結局自助の推進でしかない気がするので不安.
cf. アライグマ捕獲従事者研修会
行政が自助に頼らない捕獲に乗り出さないと減らない気もするけどね.
以上
2021.1.5 執筆