アライグマ防除実施計画の比較レビュー(北海道/兵庫篠山/東京/埼玉/神奈川)
行政計画比較Part1
今回は
です.
私がバーッと読んで比較した所見なので,内容はもしかしたらガバガバかもです.
本文のURL貼っておくんで,是非一次ソースにあたってください.
ざっくりとした印象としては
北海道...捕獲技術についてかなり詳細 but 全体的な戦略があまり見えてこない
神奈川...現状把握や目標設定など戦略的 but 技術については書いてない
ってかんじです.
本編はこちらから
北海道アライグマ・カニクイアライグマ(以下アライグマ等)防除実施計画書
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/araiguma280428.pdf
北海道アライグマ防除技術指針
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/grp/01/araigumasisinn.pdf
東京都アライグマ・ハクビシン防除実施計画
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/raccoon/raccoon.files/plan20160524.pdf
埼玉県アライグマ防除実施計画
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0508/gairai/documents/634726.pdf
第3次神奈川県アライグマ防除実施計画(2021.1.5修正)
神奈川県アライグマ防除実施計画について - 神奈川県ホームページ
このうち北海道に関するレビューはこちら↓
cf. そもそも防除とは?根拠法は?有害とかとの違いは?誰がたてるの?
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1. 全体の比較
2. それぞれの特徴
3. まとめ
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1. 全体の比較
まずはざっくりと比較
・ ページ数
多ければいいってわけではないけども,情報量とページ数はだいたい比例するのでね.
神奈川がダントツで,あとは13-29,東京だけ6ページでしたね.
・PDCA
神奈川は第二次計画までの結果と課題について詳細に言及している.
あとは特にこれまでの防除がどう効いてきたかについて言及は少ない.
・担当自治体
埼玉と神奈川は「市町村が各々実施してね」と指揮系統をはっきりしてる.役割分担がしっかりしている印象.北海道とかは一言触れるくらい.
兵庫篠山は,そもそも市の計画だからこれは必要ない.
・現状把握
東京以外は分布状況や捕獲数を把握している.特に神奈川は第1次からどう分布が広がっているかを詳細に記している.
東京は,ほとんど把握していないらしい.大丈夫か?
・防除技術
やはり,アライグマ対策大家の北海道は技術指針出しているだけあってかなり詳細まで書かれている.個人的に北海道アライグマ防除技術指針はアライグマ捕獲業務のバイブルになりうる書だと思う.
ほかの自治体は基本的に箱罠と安楽殺くらいしか言及してない.篠山は兵庫県立森林動物センターの指導の下にかぎりエッグトラップや巣箱型箱罠を使用を認めているが,詳細は記述していない.
2. それぞれの特徴
◎北海道
以下を参照のこと.技術指導がハンパないよってこと.
ただし,どの自治体がどういうことをどれくらいすればいいかについては特に書いてないみたい.
◎兵庫篠山
・侵入経緯とこれまでの対策について明示
・第二のアライグマを発生させないように,注意喚起
・原則捕獲は箱罠で,エッグトラップ・巣箱は森林動物センター
・見回りは捕獲行為に含めないと明記
・箱罠の消毒を推奨
・市が指定する処分場へ持っていけor現場
・処分の例外について(許可飼育とか)かなり詳しい
・殺処分後の処理まで
・侵入の予防や被害の予防
◎東京
・生息調査はしていない
・多摩付近で分布拡大...くらいの情報しかない
・被害の概論...アライグマとは生態系などに被害があり...という一般論に留まる
・原則箱罠
・従事者の例外(狩猟免許なくていい)あれど講習会はない
・傷病獣について言及
・被害予防対策について軽く言及
・東京都外来鳥獣(アライグマ・ハクビシン)防除対策検討委員会の設置
→詳細は書かれていない
・添付資料は公開されてない?
◎埼玉県
・対策レベルを地域別に→重点対策地域/生息確認地域/生息未確認地域
・捕獲以外の対策は軽く記述
・対策は市町村が主体
・薬殺推奨→現実的なのか??
・アライグマ回虫の注意喚起
・関係機関の役割分担が詳細
◎神奈川
・必要捕獲努力量を設定
・これまでの対策の評価が詳細
県全体として生息密度が低下しているかも?
個体数は抑え込めていそう?←捕獲数がおおむね横ばい
捕獲場所(農地とか)も記録してる
課題もある
分布は→情報収集
必要捕獲努力量に比べて実際の捕獲努力量は50%程度
適切な配置(どこにどう努力量を割くかを考えよ)
適切な捕獲期間
↑他の地域はこんなに細かく把握してない!!(or公開してない)
・目標:生息分布域の縮小/個体数の減少
・地域に分けて対策を定める
・毎年度必要捕獲努力量を設定
・箱罠が基本←講習会については触れず
・指揮系統しっかり
・感染症発見時のフローチャート
3. まとめ
表のとおりです.それぞれ強みはあるなーというかんじです.
それを全部盛り込んだ計画はまだ見つけられていません.
北海道の「防除技術」
兵庫篠山の「捕獲個体引き取りセンター」
神奈川の「必要捕獲努力量設定」「感染症発見時のフローチャート」
これらは防除計画において盛り込むべき情報だと思いました.
以上