前肢拘束型アライグマ捕獲器について
前肢拘束型アライグマ捕獲器について
アライグマだけを獲りたい!!って人のためにアライグマ専用捕獲罠があります.
そのうちのひとつ,前肢拘束型アライグマ捕獲器についてのメモ.
cf. そのほかの選択的捕獲罠
cf. 巣箱型箱罠について
cf. 北海道におけるアライグマ捕獲のためのEgg Trapの有効性と混獲防止効果の検証
https://satoyaman-raccoon.hatenablog.com/?_ga=2.95095772.1347485298.1586785805-265929746.1580548303
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目次
1. 前肢拘束型アライグマ捕獲器とは
2. 使用方法
3. 課題と個人的見解
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1. 前肢拘束型アライグマ捕獲器とは
これはアライグマの
手が器用
だっていう形態的特徴を生かした罠.筒状の罠の奥に餌があり,それを取ろうと手を突っ込む(アライグマくらいしか手を突っ込んだりしない)と手が固定される仕組み.
TheEggTrapCompanyのエッグトラップ
が有名です.その他にもHyke社のハイクアライグマトラップやタイガー社のアライグマ一番,サージミヤワキ社のアライグマ手錠式捕獲罠などがある.(他にもあったらコメントください)
エッグトラップ:https://www.theeggtrapcompany.com/index-2.html
ハイクアライグマトラップ:https://hyke-store.com/?pid=84677600
アライグマ一番:http://www.tiger-mfg.co.jp/trap.html
アライグマ手錠式捕獲罠:https://patents.google.com/patent/JP3160342U/ja
エッグトラップは国内研究があったり,行政計画に盛り込まれたりしてる一方で国内販売店がないのが欠点.ハイクアライグマトラップとかは入手しやすいね.
今のところ,前肢拘束型アライグマ捕獲器の比較結果は聞いたことないです(2020.5.17現在).
私はハイクアライグマトラップを使用したことがあります.
北海道アライグマ防除指針は利点として以下をあげている(エッグトラップ).
①アライグマ以外の動物の混獲を防止
② 小動物による餌の持ち逃げや誤作動率を軽減
③ 箱ワナに対するトラップシャイ(警戒心の強い)個体の捕獲
④ 力の強い個体によるワナの破壊や逃亡の阻止
⑤ ワナの購入・運搬・管理に係るコストの削減
⑥ 設置環境の選択性が高い→水辺や湿地などにも設置が可能
まさにそのとおりなので私から追加することはないです.あとは安いくらい?5000円はしない.箱罠は5000-8000円とかだもんな.
特に①,②,⑤は大きい.
①②箱罠だと,一回かかって放獣されたタヌキとかが味閉めて何回も来てしまう.そうなるとその場所は使い物にならなくなるから,確実にアライグマだけを捕まえる,誤作動しないっていうのはとてもありがたい.
⑤箱罠,折り畳み式もあるけど,まあまあでかいのよね.片手で複数個持てるサイズの罠っていうのはありがたい.
cf. 北海道アライグマ防除技術指針
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/grp/01/araigumasisinn.pdf
2. 使用方法
正直,北海道アライグマ防除技術指針がかなーり丁寧に記載してくれているのでそっちを参考にしてくれ...あれより分かりやすくは書けん.
cf. 北海道アライグマ防除技術指針
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/grp/01/araigumasisinn.pdf
概略としては...
餌:外側にピーナッツバタークリーム塗って,中にも餌.
中の餌は捕獲者の好みに分かれるけど,あんドーナツ,キャラメルポップコーン,マシュマロが主流な気がする.脂っぽいものが好きって言われていますな.
設置方法は上のとおり.北海道アライグマ防除技術指針から引用です.地面に置くと錯誤捕獲の可能性が上がる(吊り下げられている方がより器用じゃないといけない)という実験結果が上がっている.
cf. 近畿地方環境事務所. 2006. 第 1 回 近畿地方アライグマ防除モデル事業調査検討会 議事次第
http://kinki.env.go.jp/wildlife/mat/data/m_2_1_1/m2_5.pdf
捕獲後は,暗い箱を近づけると入ってくれる.わりとすぐ入ってくれるっぽい.それで輸送したり.(特定外来生物の生態輸送は法律で禁じられているため,特別な許可が必要)
cf. Egg™ Trapで捕獲されたアライグマを回収するための誘導型捕獲箱の開発
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalianscience/51/2/51_2_257/_article/-char/ja/
(おいおいレビュるかも)
注意:前肢拘束型アライグマ捕獲器は法定猟具ではないため,狩猟的に使うなら自由猟法として使用する必要があります.有害鳥獣捕獲や外来生物法に従った防除として使用する場合は各自治体に確認する必要ありでしょう.
cf. 静岡県鳥獣被害対策マニュアル(自由猟法のはなし)
http://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-325/chouzyu/manyuaru.html
cf. 北海道アライグマ防除技術指針
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/grp/01/araigumasisinn.pdf
cf. そもそも捕獲の法律等は?の方はこちら
3. 課題と個人的見解
課題としては
①捕獲効率が悪い
②錯誤捕獲もある
③侵襲性が高い(?)
①について,北海道アライグマ防除技術指針は箱罠の1/4程度の捕獲効率としている.
cf. 北海道アライグマ防除技術指針
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/grp/01/araigumasisinn.pdf
でも,ハイクアライグマトラップ使った感覚では,そんなに捕獲効率が低い印象はないですね.というのも,餌も入れずトリガーはずした状態で設置してカメラで様子を観察したら,初日に通りかかったアライグマが興味津々に手を突っ込んでいたんです.
エッグトラップではなくてハイクアライグマトラップだからかも?
②については,エッグトラップでは「地面においた状態でネコの錯誤捕獲はありえる」と.ただし,先行研究では「大半は予防可能」という報告も.
自分はハイクアライグマトラップを下において使用したらタヌキやテンの錯誤捕獲はありました.
これもエッグトラップではなくてハイクアライグマトラップだからかも?とはいえ,ハイクアライグマトラップでもかなり選択性は高い印象です.
cf. 北海道におけるアライグマ捕獲のためのEggTrapの有効性と混獲防止機能の検証
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalianscience/46/2/46_2_169/_pdf
cf. 近畿地方環境事務所. 2006. 第 1 回 近畿地方アライグマ防除モデル事業調査検討会 議事次第
http://kinki.env.go.jp/wildlife/mat/data/m_2_1_1/m2_5.pdf
③に関して,特に先行研究とかはないけど拘束力強すぎて動物福祉的にどうなんだ?って印象です.
なお,海外の論文では動物福祉的にも望ましいとされているそう.そうなの!?(2020.5.24追記)
cf. 北海道におけるアライグマ捕獲のためのEgg Trapの有効性と混獲防止効果の検証
https://satoyaman-raccoon.hatenablog.com/?_ga=2.95095772.1347485298.1586785805-265929746.1580548303
cf. Proulxほか1993
file:///C:/Users/watah/Downloads/57-1996-trapscaptureraccoons.pdf
cf. Hubertほか1996
以上