【新入生とか】野生動物始める人LV.1 装備~道具から教科書,コミュニティ,資格まで~
野生動物始める人LV.1 装備
~道具から教科書,コミュニティ,資格まで~
新学期ということで,大学1年生などこれから野生動物の調査や研究に挑戦してみたい方も多いかと思います.
経験詰んでいく中で,自分に合った装備や本,コミュニティなど揃えていくと思いますが,中には「もっと早く知っておけばよかった…」的なものもあるかとおもいます.
また,自分は先輩から教えてもらったことも多いんですが,そうやって教えてくれる先輩に必ず出会えるとも限りません.
そこで
…ということで,今回は,野生動物系の調査・研究に携わりたい人LV.1装備について,個人的な意見を発表します!!
フィールドの装備とかから,おすすめの教科書,メーリングリストとかまで.
【対象】これから野生動物に携わりたい人 LV.1 など
生態学系の人全般に共通する内容もあるけど,他分野は門外漢すぎるので,今回は野生動物管理とかそこらへんに興味がある人にぴったりかと.
大学1-2年をイメージして書いてますが,別に学生じゃなきゃいけないってこともないです.
【注意】筆者は初心者フィールドワーカーで,内容は個人の見解です
・筆者はLV.5くらい(修士課程2年)の初心者です.ガチプロではないです.
・特に道具集めるのが趣味とかではないので,詳しいわけでもないです.
・装備は好み別れると思うので,参考程度にしてください.後々自分でカスタマイズしてください.
・オススメある人はコメントください
---------------------------------------------
目次
フィールド装備
教科書とか
情報網とか
資格とか
---------------------------------------------
1. フィールド装備
基本的には,一般的なフィールドワーカー装備があればOK.
※なお,高山は想定しません.高山は専用の装備があると思うで,ちゃんと調べてください.
・長袖長ズボン ・軍手 ・雨具(上下セパレートの合羽) ・タオル ・防止
・昼食や携行食(チョコ・ナッツ) ・飲み物 ・地図やコンパス ・保険証
・クマスプレーやクマ鈴(フィールドによる)
・適切な靴* ・救急セット** ・野帳と筆記用具*** ・追加ポケット****
・適切な靴
フィールドによって異なる.
例えば,自分は3種類使います.
平地,里山,整備された山など→トレッキングシューズ・登山靴(自分は常用の靴が半登山靴なので)
湿地,川など→長靴
おすすめは日本野鳥の会長靴です.
かなりしなやかで,フィットします.折りたためて持ち運びも楽.フィットするから足首の負担がほぼない.走れるくらい.
ただ,靴底は薄いので河原や刈られたササとかには弱い.
初見で長靴5000円は高いと思ったけど,今思うとかなり安いです.50回使ったら,1回100円だもんね.
ガッツリとした山→スパイク足袋・スパイク長靴・足袋
自分はBushManのスパイク長靴を使っています.
急傾斜や崩れやすい土壌で,重い荷物(機材や材木,動物など)を運ぶ時には足が安定しないといかん.そのときにスパイクがついた足は有用.というかスパイクないと危ない.
足袋:踏みしめやすい(林業系は足袋が多い気がする)
長靴:防水性が高い
狩猟は冬に行うので,雪が多い猟場だと防水性は欲しい.また,川も渡ったりするのでね.
防水スパイク足袋とかもあるので,検討してみてもいいかも.
釣り具屋や銃砲店(銃を撃っている店)とかで売ってます.
ちゃんとしたもの買うと結構高いけど,個人的には必要経費だと思う.
3000円とかのものもあるけど,これは買ったことないのでわかりません…
・救急セット
2000円しないで買えるものもある.スズメバチ用のポイズンリムーバー(毒を抜く逆注射器みたいなやつ)とかは必須ですね.
・野帳
なんかメモする物は欲しい.防水の手帳とかもある.自分はバインダー+紙を使ってます.
雨の日は45L透明ゴミ袋とかに手帳と腕ツッコんでメモすると良いよ.
何メモするかは,腕の見せ所です.何に気づけるかが重要.そのためには経験が必要らしい.同じ自然を見ても,事前知識の有無で得られる情報が全然違うので,いっぱいフィールドに出ましょう.
・追加ポケット
これは必須ではないけど,リュックの他にポケットが多い装備をしているとかなり便利.
自分は↓のようなジャケットを愛用していました.毎日着てました.大学の座学の時も着てました.ワークマンとかでも安く売ってるよ.
ポシェットを使う人もいる.
2. 教科書とか
個人的に激推しするのは以下の2冊.
あと,基本的にいい本はちょっと無理してでも買ったほうがいいです.
すぐに絶版になって,10倍くらいの値段になります.ホントに定価3,000円くらいの本が30,000円くらいになります.
・実践野生動物管理学
野生動物管理の大御所たちが出版した入門書.主要な獣種の生態から,管理の考え方,個体数推定方法などのエッセンスがまとまっている.練習問題とかもあって,1冊目としてとても良い.
アライグマに関する章のレビューは↓でも.
satoyaman-raccoon.hatenablog.com
・野生度物管理のためのフィールド調査法:哺乳類の痕跡判定からデータ解析まで
1度は絶版になった良書.今では全頁PDF公開されています.動物の痕跡とかについて詳しく書かれていてとても良い.
その他は↓も良いor読んでみたい
・野生動物の管理システム-クマ・シカ・イノシシとの共存をめざして-
クマ,シカ,イノシシについて生態から管理方法まで記した入門書.絶版.
・生物学を学ぶ人のための統計のはなし―きみにも出せる有意差
これは野生動物に限らず,生物系の統計のはじめの一歩.かなりわかりやすい.高校数学分かれば読める.有識者の中には「統計は後でいい,とにかくフィールド」派もいて,それも正しいとは思う(統計はフィールドで見たものを表現する手段なので).でも研究始める前に解析のノリもわかっていたほうがいいと思うなぁ.
あとは,最近出たこの2冊が気になっています.まだ読んでいないので言及できないけど,絶対面白いと思う.読んでよかったらまた編集します~
・SDGsな野生動物のマネジメント: 狩猟と鳥獣法の大転換
・いきもの六法 日本の自然を楽しみ、守るための法律
3. コミュニティ
これはなかなか自分じゃ辿り着けない情報だと思う.自分も先輩から教わったし,後輩に教えたときに「もっと早く知りたかった」と言われた.今回の記事の動機でもある.
それゆえ,この2つ(+α)以外にもあると思う.そこは頑張って探してくれ.
以下は全てML(メーリングリスト).登録すると,有用な情報(シンポジウムやイベント,求人など)が流れてくる.たまに議論が発生する.
・野生動物メーリングリスト
その名の通り,野生動物関連の情報が流れてくる.野生動物のシンポジウム・イベント情報はもちろん,数少ない求人が流れてくるのもありがたい.鬼オススメ.
・新Jeconet
これは野生動物に限らず生態学系全般について情報が流れてくる.幅広い情報収集におすすめ.野生動物の内容は両方のMLに同時に流されることが多い.
あとは,それぞれの動物や学会,専門分野についてMLがあったりします.
例えば,
・アライグマ連絡会
アライグマに関して,管理から生理生態まで.毎月勉強会やったりして,今全盛期です.
satoyaman-raccoon.hatenablog.com
・JBN(日本クマネットワーク)
ツキノワグマやヒグマに関する団体のML.ここも良い.
あとは学会には早いうちから言ったほうが楽しいと思う.学会とは,研究者や学生が研究成果を発表し,公表する場.
ここで,憧れの先生や同じ志を持つアツい仲間を見つけることができる.
祭典.ここからあらゆる物語が始まる.
学部生の聴講はタダだったりやすかったりするので,是非.
・日本哺乳類学会(8-9月)
哺乳類に関する研究が幅広く発表される.野生動物好きにとっては,規模やレベル,内容全てにおいてちょうどいいと思う.必須.
・野生生物と社会学会(11月)
野生生物と人間の軋轢とかに着目.社会学的な側面も内包しており,野生動物管理にぴったりな内容.ただ,規模は小さく,レベルもばらつきがある.
・日本生態学会(3月)
生態学全般.野生動物だけでなく,植物も魚類も節足動物とかも色々.規模もかなりデカいし,盛り上がる.ただし,その分野生動物の色は薄いし,基礎生態とか基礎科学に寄る.
僕は哺乳類学会と野生生物と社会学会がメインで,生態学会のぞき見くらいのスタンスです.
4. 資格とか
資格に関してはまだどれだけ「使える」かわからないので(就職や仕事をとったりしていない),なんともいえないけども…
感想込みです.
・普通自動車免許(MT)
普通自動車免許(ATでも可)は必須.ないと使い物にならん.
(ちなみに僕はクソ下手なので,かなり苦しんでます)
基本的にATでも良さそうだけど,現場によってはMTのところもあるのでMT取っておくのが無難.
・狩猟免許
狩猟や鳥獣保護管理法の基本知識が学べるので取ったほうがいいと思う.
狩猟と管理捕獲,有害鳥獣捕獲とかはそれぞれ違うけど,必ず共通する部分はあるので.
あと,職種によっては狩猟免許が必須だったり,優遇されたりする(銃かわなかはその会社によるけども).
少なくともわなは簡単なので(銃は持ってないからわからん),とりあえず取ったほうがいい.
狩猟自体のハードルは高いかもだけど,できたらやったほうがいいと思う.
捕獲の経験になるし(狩猟の見学じゃ得られないほどの),一連の手続きも体感できる.
楽しさも,大変さもわかる.
・鳥獣管理士
野生動物管理に特化した資格.専門性は高いが,難易度はそこまで高くなく,認知度も低い.
ただ,この資格持っていると,一定の野生動物管理の専門性が担保されるし,持っておくとよいと思う.高いけど.
もちろん「使えるの?」って意見もある.使えるかはわからん.
でもそもそも,技術士とか公認会計士とかそういう資格じゃないから,仕事に直結する資格なんてのはほぼないと思う.
あと,個人的にはこの資格を通して,めっちゃ頼れる仲間に出会えたので,個人的には「使える」と思う.
資格を得ること自体を利益に直結させたいならいらないかもね.この資格を元に自分で頑張りたいなら有用だと思う.
・教職
野生動物関係は仕事少ないので,保険の一手.アカデミアだと持っている人は結構いるイメージ.でも今のところ使えそうにはない.あと,まぁまぁ大変.結構大変.ハイリスク,?リターン.学芸員は持ってないからわかりません…
以上のまとめ.
1年で揃えられそうですかね~
これを基本装備として,あとはカスタマイズしたり,追加したりして自分にとって最強の装備を揃えたらいいと思います~!!
以上
2022.04.03執筆