【動画あり】Egg Trapについて~利点や使い方,仕組み,入手方法など~
Egg Trapについて
前肢拘束型アライグマ専用捕獲器のEgg Trapを購入いたしました!!
今回はこのEgg Trapについて!!
前肢拘束型アライグマ専用捕獲器の総論については以下を参照してください.
cf. 前肢拘束型アライグマ捕獲器について
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目次
1. エッグトラップとは
2. 使用方法
3. 入手方法
4. 個人的には...
5. 追加情報等
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Egg Trap(以下エッグトラップ)はアライグマ専用捕獲器である.
1. エッグトラップとは
エッグトラップとは,アライグマ"だけ"を捕獲する罠である.
一般にアライグマを捕獲する際は箱罠を用いる.
しかし,箱罠を用いる場合,アライグマ以外の中型哺乳類(タヌキ,ネコ,ハクビシン,アナグマなどなど)も捕獲されることがある.そして,もしそれらを放獣すると「この箱罠の餌を食べても逃がしてもらえる」と学習し,わざと箱罠の中に入るヤツが現れる(トラップハッピー個体).
そうなると,箱罠をかけるたびに餌付けタヌキやらトラップハッピー個体が捕獲されて効率は著しく落ちるといわれている.
そこで,「ほかの動物はかからないでアライグマだけ捕獲する」罠として開発されたのがエッグトラップである.
これはアライグマの手が器用だっていう形態的特徴を生かした罠.球状の罠の奥に餌があり,それを取ろうと手を突っ込む(アライグマくらいしか手を突っ込んだりしない)と手が固定される仕組み.
タヌキなどは鼻を突っ込もうとするけど,トリガーが奥にあるので作動しない.
北海道アライグマ防除指針は利点として以下をあげている.
①アライグマ以外の動物の混獲を防止
② 小動物による餌の持ち逃げや誤作動率を軽減
③ 箱ワナに対するトラップシャイ(警戒心の強い)個体の捕獲
④ 力の強い個体によるワナの破壊や逃亡の阻止
⑤ ワナの購入・運搬・管理に係るコストの削減
⑥ 設置環境の選択性が高い→水辺や湿地などにも設置が可能
まさにそのとおりなので私から追加することはなし.
特に①,②,⑤は大きい.
①②箱罠だと,一回かかって放獣されたタヌキとかが味閉めて何回も来てしまう.そうなるとその場所は使い物にならなくなるから,確実にアライグマだけを捕まえる,誤作動しないっていうのはとてもありがたい.
⑤箱罠,折り畳み式もあるけど,まあまあでかいのよね.片手で複数個持てるサイズの罠っていうのはありがたい.購入費用も1つ3000円以下なので大変安い(箱罠は5000-10000円が多い).
cf. 北海道アライグマ防除技術指針
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/grp/01/araigumasisinn.pdf
似た構造の罠としてはハイクトラップなどがある.
これらは国内で入手できるが(エッグトラップは国内では入手できない,後述),下記リンクの通り,日本で入手できる研究・実証試験などは全てエッグトラップが使われている.
日本で入手不可だが,情報が比較的多いエッグトラップと
日本で入手できるが,情報があまりないそのほかの罠
一長一短ですかね.
今後はハイクトラップの俺が情報もいっぱい出すぜ,たぶん.
cf.前肢拘束型アライグマ捕獲器について
2. 使用方法
まず.使用する際には,行政の管轄係に確認してくださいな.
捕獲の許可とかの分類は以下の通り.
cf. 狩猟?管理捕獲?有害鳥獣捕獲?-野生鳥獣捕獲の行政的枠組みの整理-
使えるのは
・有害鳥獣捕獲
・外来生物法にもとづく防除
・狩猟に準ずる捕獲(自由猟法による鳥獣捕獲)
ですかな.ただし,有害鳥獣捕獲や外来生物防除は箱罠限定の場合もあるで注意.
エッグトラップは法定猟具ではないので,自由猟法になる.注意.
次は罠の仕組みについて.
分解すると図2のようになる.
左上 :エッグトラップ本体
上中央:エッグトラップ保定部分
右上 :エッグトラップ蓋
下の2本は設置のための道具(別売り)です.
①スプリングは青矢印の方向に締まっている.
②それを専用ツールを用いて赤矢印方向に回す(めちゃくちゃ固い!!).
③赤ラインまで回したらトリガー(吹き出しの先)で固定
④アライグマがトリガーをいじると,スプリングが外れて写真の状態になる
⑤アライグマの前肢がスプリングで固定される
動画もあるよ
https://www.youtube.com/watch?v=e4WarfgfeSY&t=59s
2020.6.28時点で再生数1800回,高評価8とかなんでガンガン見てくれよな笑
このエッグトラップを図4のように設置する.
中にはあんドーナツやキャラメルポップコーンなどの餌を入れておく.
cf. 北海道アライグマ防除技術指針
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/grp/01/araigumasisinn.pdf
設置動画です.
ついでにハイクアライグマトラップの設置方法も載せました.
ちゃんと準備せずに撮ったのでしどろもどろですが...
後日まともな動画とれたら再UPします.
3. 入手方法
2020年4月現在,日本で入手する方法はない.はず.
直接,アメリカのThe Egg Trap Companyから購入するしかない.
※The Egg Trap CompanyのHPには日本人向けの窓口の記載があるが,2020年4月現在取り扱っていない.
※静岡県鳥獣被害対策マニュアルには入手方法問い合わせ窓口の記載があるが,2020年4月現在取り扱っていない.
The Egg Trap CompanyのHP購入ページのURLは以下のとおり.
https://www.theeggtrapcompany.com/ordering_info.html
まぁ書いている通りだが,要は以下の手順で購入できる.
①欲しい旨をメールする
②メールで注文内容や支払い方法を話し合う(小切手や海外送金システムを使用)
③支払う
うん,ただの個人輸入ですね.手順書いてみると単純だけど,面倒くさいです.
参考までに,私が買った時の値段は以下の通り($1=¥110換算).
エッグトラップ :約1540円(14ドル)
セッティングツール :約2750円(25ドル)
国外輸送費 :約10384円(94.40ドル)
関税+国内輸送費 :1400円
私は仲間と共同でエッグトラップ12個(ダース割引あり!),セッティングツール3セット買ったんだけど,もろもろで35000円くらいだった.
単純計算でも1つ3000円弱.安い!!
注文最初のメールからなんやかんや1か月で手元に届きます.
上記の流れわかっていたらもうちょっと早いかな??
4. 個人的には...
個人的には,アライグマ捕獲にはやっぱ箱罠ではキツイと思っている.
そういう意味では前肢拘束型アライグマ捕獲器が大事だと思っている.
そのうえで,エッグトラップは......
とりあえずいじってみたけど,スプリングの力がめちゃくちゃ強い!!
動物福祉的に問題はありそうだけど,それに関する論文が海外で出ているそうなので要チェックですね.ちなみに日本の論文では1件だけ動物福祉云々に触れていて,そこでは動物福祉的にもOKとしていました.
cf.北海道におけるアライグマ捕獲のためのEggTrapの有効性と混獲防止機能の検証
[レビュー]
[本編]
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalianscience/46/2/46_2_169/_article/-char/ja/
あと,やはり国内流通皆無なのがキツすぎる...
それならハイクトラップとかのほうが使いやすいなぁ
ということで,今後はハイクトラップの研究や報告も注目!!
そして,エッグトラップとハイクトラップなどを比較することでエッグトラップの既存情報(後述)がどれだけハイクトラップなどにも適用できるかがわかると思う.
5. 追加情報等
前肢拘束型アライグマ捕獲器のなかでもエッグトラップは研究や調査の報告が多いのが利点のひとつ.
具体的には以下の通り.
まだまだあるけど,主要なものはこんなかんじっすかね.
cf.北海道におけるアライグマ捕獲のためのEggTrapの有効性と混獲防止機能の検証
[レビュー]
[本編]
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalianscience/46/2/46_2_169/_article/-char/ja/
cf. Egg™ Trapで捕獲されたアライグマを回収するための誘導型捕獲箱の開発
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalianscience/51/2/51_2_257/_article/-char/ja/
cf. 近畿地方環境事務所. 2006. 第 1 回 近畿地方アライグマ防除モデル事業調査検討会 議事次第
http://kinki.env.go.jp/wildlife/mat/data/m_2_1_1/m2_5.pdf
cf. 近畿地方環境事務所. 2007. 第 2 回 近畿地方アライグマ防除モデル事業調査検討会 議事次第
http://kinki.env.go.jp/wildlife/mat/data/m_2_1_2/m3.pdf
cf. 北海道アライグマ防除技術指針
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/grp/01/araigumasisinn.pdf
とりあえず以上
数日以内にセッティング動画とかハイクトラップとの構造の比較を追記する予定です.
2020.10.31 動画追加