レビュー:『兵庫県における外来哺乳類の現状と課題』 3章兵庫県神戸市におけるニホンアカガエル繁殖期に出没・カエル捕食したアライグマの記録
兵庫県森林動物センター刊行兵庫県ワイルドライフモノグラフ12号
『兵庫県における外来哺乳類の現状と課題』のレビューです.赤字は私の見解等メモです.
本編はこちらから↓
http://www.wmi-hyogo.jp/publication/monograph.html
野生動物管理の最大戦力(さとやまん調べ)たる兵庫県森林動物センターによるアライグマの生態系への影響についての報告です.アカガエルも食べていたけど,繁殖期に良く来るとかいう結果は確認できなくて,定量的評価は持ち越し...といったかんじです. 今回はちょっと軽めにレビューです.
------------------------------------------------------------------------------
◎在来生態系への影響としては競合と捕食が危惧される
・競合
類似したニッチのタヌキやイタチと競合するおそれ
タヌキの密度はアライグマの密度の負の影響(栗山 2018)
タヌキ行動圏とアライグマ行動圏被ってない→排他的?(Abe et al. 2008)
・捕食(本文に一覧表アリ)
甲殻類/節足動物/両生類/爬虫類/鳥類/哺乳類などなど(Matsuno and Ochiai 2009;加藤ほか 2016)
※阿部2011( https://satoyaman-raccoon.hatenablog.com/entry/2020/04/11/%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC%3A%E3%80%8E%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%A4%96%E6%9D%A5%E5%93%BA%E4%B9%B3%E9%A1%9E%E3%80%8F5%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%B0%E3%83%9E-%E6%9C%89)では,生態系への影響はあまり研究されてないとありましたが,その後に進んでいるようですね
※タヌキとアライグマが両方カメラに映ることもあるから,この論文(Abe et al. 2008)是非ともチェックしたい.
◎今回は捕食事例の報告がないニホンアカガエルについて調べる
◎公園内のまあまあ近い水辺3か所のカメラトラップ調査
+
◎カエルの鳴き声から繁殖期特定し,卵塊数も調査
◎アライグマが食っていた見られるのは以下の通り
アカガエルと思われる個体/アカガエル卵塊/セトウチサンショウウオ
◎アカガエル食っていたと思われるアライグマ以外の動物は以下の通り
イタチ/アオサギ/モズ/フクロウ/タカ科
◎アカガエル繁殖期前後でアライグマの出現に有意差なし
以上